私が気になっているのはマン盆栽です。盆栽と言われると鉢植えの中に植えられた松を思いうかべる方が多いかと思われますが、そのバリエーションは思いのほか多く、木の種類、大きさ、木ではなく草の盆栽など、多岐にわたっています。大きな木の盆栽は数百年かけて育てられているものもありますが、草の盆栽であれば成長も早く、短い時間で楽しむこともできるなど、楽しみ方もそれぞれです。その中でも盆栽の中にフィギュアを並べてジオラマ風に仕上げたものをマン盆栽と言います。
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ふと目についたマンボ盆栽。小さな虚構の世界
私の父も鉢植えで松の盆栽を育てていて庭にいくつか並べていましたが、ろくに手入れもできておらず貧相なもので、当時は全く興味を持てませんでした。そんな私の興味を引いたのはネットサーフィン中に見つけたブログ記事かなにかだったと思います。その記事には大きな木の下でクニックをしている小さな家族の写真が掲載されていました。良く写真を見ると大きな木に見えたのは実は盆栽、ピクニックしているのは小さな小さなフィギュアだったのです。気になった私はブログ記事を良く読んでみました。すると、そこに掲載されていたのは『マン盆栽』と言うものでした。初めて聞いたときには何のことだかわからない言葉ですが、MAN(人)+盆栽でマン盆栽。盆栽の鉢植えの中に小さなフィギュアを置いて小さな世界を作る遊びです。
思い立ったが吉日
ブログ記事でマン盆栽を知った私は、他にも面白いものは無いかとマン盆栽についてさらに調査を始めました。画像検索をするととても多くの作品が出てきました。私の知らないところでこんなに面白そうな事をやってる人がたくさんいる。そして、その写真からはユーモアとセンスにあふれた作者の人柄やあたたかい気持ちが感じられました。気になったらやってみないと気が済まない私は早速自分でも実践してみる事にしました。近くのホームセンターに行って安い植木鉢を買ってきて、庭の土と雑草を植えて簡単な鉢植えを作りました。そこに、子供のレゴブロックの人形を並べて遊んでみたところ、なんとなくそれっぽいものが出来ました。雑草や花や背の低い芝など、植えるものと配置を変えて見たり、石を山にみたてて背景を変えたり、人形の並びを変えて探検させたりピクニックさせたり色々なシチュエーションを考えていると思いの他楽しく子供も大喜びでした。
マン盆栽の進化と盆栽の深みへ
手軽な草を使ったマン盆栽も、何度も繰り返しているともっと雰囲気を求めてエスカレートしていきました。まずはフィギュアの入手です。マン盆栽に良く使われるのはプライザーと言うドイツのメーカーのフィギュアで、1/80程度の物です。人物や動物などとても良く出来ていますがその分高価で人なら5体で2000円程度します。私はどうせ作るなら小さい方がかわいいよねって事で1/150の人形や動物を2万円分ほどオトナ買いです。届いたフィギュアは本当に小さくて精密で身長は1㎝ほどしかありません。しかし、バーベキューを食べていたり、リュックを担いでトレッキングをしていたり、子供が走り回って遊んでいたり、とても躍動感に満ちています。
入手したフィギュアを配置する盆栽もこだわりたいところです。とても小さなフィギュアですので、植えるものも小さくしないとバランスが取れません。鉢は雑貨屋さんで見つけたカラフルなグラタン皿を使いました。また近くの山に入っていろいろな種類の苔のマットを採取してきて、フィギュアの世界の草原に見立てて敷きつめました。また、変化の速い草だけではなく、重厚感のある木の盆栽にも興味が出てきたため、梅や紅葉など季節を感じやすい盆栽を入手して育て始めました。
いつしか惹かれ始めた『盆栽』の世界
マン盆栽の魅力は、とても小さな空間に詰め込まれた現実の世界の風景の面白さと、人工的に摸された自然の美しさです。ただの模型ではなくて自然の草木を使う事によって生まれるリアリティーとわざとらしさのギャップに面白さを感じているのではないでしょうか。この感覚をもう少し磨いていくと『マン』の抜けた盆栽にはさらに洗練された美しが有る様に感じてきました。自然の事物を材料にしているのですが、明確な人間の思いや手が加えられています。そこにあるのはとても人工的な美であって、決して自然の物ではありません。しかし、植物の成長は人の力だけで作られたわけでないのも確かです。徹底的な人の管理のもとで隠されたなかから垣間見えることによって、より自然の美しさが強調されているのではないでしょうか。
さまざまな種類の盆栽
盆栽には多くの種類があります。私が興味を持ったものを中心にいくつかご紹介します。
①松柏盆栽
伝統的な盆栽の代表例です。盆栽と言って最初に思いつくのは松ではないでしょうか。
②雑木盆栽
紅葉や楓などさまざまな木も盆栽として楽しめます。
③実物盆栽
李やサクランボなど、実のなる木も変化を楽しめる盆栽になります。
④花物盆栽
代表は梅やツバキなど、満開の桜もよいですが、凛とした緊張感のある花の美しさを楽しめます。
➄草物盆栽
成長が早く楽しみ易い盆栽です。
⑥マン盆栽
①~⑤の上にフィギュアを乗せて簡単なジオラマを作るものです。コミカルな物語性を楽しむ事が出来ます。